学んだリーダーシップ、背中押す

コミュ力も、苦手な人との関わりも

キャリア形成支援課が開講「失敗も成長に」

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 専修大学キャリア形成支援課が開講する「専修大学リーダーシップ開発プログラム(SLDP)」は、リーダーシップを座学と実践で学べるプログラムだ。実際に受講をした専修大学人間科学部社会学科3年の平塚愛望(ひらつかあいみ)さんは「(SLDPで得た学びは)この先も役立つと思う」と、やりがいを振り返る。さらに、キャリア形成支援課主任の高宮慎平(たかみやしんぺい)さんは「失敗しても、そこから成長できる。一歩踏み出したいと思う人に受けてほしい」と話す。

学んだことは「嫌な人との関わり方」

 リーダーシップ力の育成に力を入れる「専修大学リーダーシップ開発プログラム(SLDP)」はキャリア形成支援課のプログラムの一つだ。プログラム参加者が専修大学を卒業後、組織や社会を牽引する人材として活躍するために必要なリーダーシップを学ぶ。1年間で、授業内で知識学習として各回講師からリーダーシップを学ぶと同時にチームでの実践活動を通じて、リーダーシップの基礎を身につける。

 平塚さんは、大学1年生の時にSLDPを8期生として受講した。翌年大学2年生の時にはチューターとして後輩の学びを支えた。

専修大学人間科学部社会学科3年の平塚愛望さん(2022年12月3日19時37分 東京都新宿区)春日絢音撮影

 平塚さんのSLDP参加のきっかけは、高校時代の先輩が受講していたことと大学で何か始めたいと思ったことだという。参加する以前のリーダーシップ能力は、打ち上げの幹事を担うことくらいで、成果を伴うグループ活動ではまとめ役は苦手だったと平塚さんは話す。

 平塚さんはSLDP内で印象的だったことに、受け入れ先の方の対応を挙げた。受講生の時に、株式会社Blanketの代表取締役である秋本可愛さんと一緒に介護のイベント企画・実施を行った際の出来事だ。イベント当日、準備が思うように進まず開始時刻が遅れてしまったBlanketチーム。秋本さんの知り合いのカメラマンがぼそっと「開始時間が遅れているけど何かしなくていいのか」と秋本さんに呟いたところ、秋本さんは「何かあったときに大人が出ればいいのよ」と見守るスタンスでいてくれたという。平塚さんは、この会話を聞いたときに、改めて社会人と一緒に仕事をする責任や自覚、見守ってくれる秋本さんへの感謝を感じたと振り返る。

「見守る」価値、その難しさ

 この出来事について秋本さんは、「(大人が)手を出そうと思えばいくらでもできる」とその意味を説明する。秋本さん自身、専修大学商学部マーケティング学科卒業と同年に起業するという大きな挑戦をした。「起業をするとなったときに大人に支えてもらった経験があるからこそ、後輩に返していきたい。挑戦して経験する失敗は学びになるというのは自分の経験から分かっているので、成長の機会を奪わないようにしたい」と話す。

 翌年チューターとして受講生を監督することになり、平塚さんの立場は一変する。「見守る」ことの難しさに直面したという。アドバイスやフィードバックを中心に場を回す経験をした際、「全力疾走が許されていないのが辛かった。受講生の時はがむしゃらに課題に立ち向かってやりきった感じがあったけど、チューターは見守ることが仕事なので、受講生の言動に対して、最適解を教えられないモヤモヤを抱えた時があった」と平塚さんは話す。

 受講生とチューターの二面から平塚さんがSLDPで学んだことは主に2つ。1つは、グループ内でコミュニケーションを怠らないことだ。SLDP8期生は、始めは新型コロナウイルスの影響でオンラインでのスタートだった。後期に対面で授業が始まったものの、画面越しで抱いた印象と異なる人も多く、再度交流を深めることが必要になった。「チーム活動が追い込まれて初めて、『必要ないこと』をどこまでやっていたかが活きることを実感した」という。2つ目は嫌な人との関わり方だ。SLDPは、一つのチームで昼夜問わず課題に向き合って最適解のために話し合う。その中で、必然的にチームメンバーの「嫌な面、合わない面」とも向き合うことになる。その時に、「どう受け止めて付き合っていくか学べたのは大きかった。ゼミでも役立つし、就活やその先にも応用できると思う」と平塚さんは話す。最後に平塚さんは、「発表やリーダーの立ち位置への苦手意識は、克服までいかないけど薄れた感じはある。大変だった分、成長したと思う」と笑顔を浮かべた。

4年一貫した「個の支援」

専修大学キャリア形成支援課職員の高宮さん(2022年12月9日午後12時12分 専修大学生田キャンパス4号館3階キャリア支援課会議室)春日絢音撮影

 SLDPは、専修大学キャリア形成支援課が学生の成長のため提供するプログラムの一つ。社会に出たときに役立つプレゼンテーション力や信頼関係構築力など12の能力を高めることが狙いだ。担当者の高宮さんは、今年度からキャリア形成支援課でSLDPや課題解決型インターンシップを担当し、学生の支援に携わっている。以前は8年間専修大学入学センターで高校への広報や入学試験の運営などをしていた。「大学生活の入口の部分から、支える対象が出口の部分に飛んだよう。学生の支援だったりキャリアだったり、どういうことが学生にとってプラスになるのかずっと学び続けている」と思いを語った。

 専修大学では、21世紀ビジョンとして社会知性を開発することを大きな看板として掲げている。大学卒業後、それぞれの学生が社会でいろんな課題を解決するために必要な力を「キャリアデザイン基礎力」として6領域12個の能力を挙げている。高宮さんが大事だと考える力は、幅広い好奇心と決断力・行動力の2つだ。「いろんなものに興味持って行動していくことで、他の能力も行動した経験によって伸ばしていくことが出来ると思う。最初のとっかかりの興味を持つという好奇心と行動することを決める決断力が無ければ、いろんなもののスタートラインに立てないかなと思う。まずは2つの力を鍛えれば、いろんなものの見方が変わったり成長につながるかな、と。行動した先でまたいろいろ考えて、他の能力の要素も上がっていくのかな」。

キャリア形成支援課が定める6領域12の能力をどのプログラムで伸ばせるか示した図(2022年12月17日午前10時48分 キャリア形成支援課配布資料内に記載)春日絢音撮影

 この能力を高めるため、キャリア形成支援課は年間100近くの様々なプログラムを開催し、学生に就活やその先の人生に役立つスキルアップの機会を提供している。特徴である、1人1人に寄り添う「個の支援」を重視し、4年間一貫した支援をしている。高宮さんは、「(課題に対して)大人から答えは絶対に教えないというスタンスでやっている。たくさん失敗して、たくさん悩んで、その分成長してほしい。大学生活で何をしたらいいか分からない人ほど、ぜひキャリア形成支援課が展開するプログラムを受けて欲しい。失敗したときの最低限のセーフティーネットは大人が張ってある。苦しい時を経験すれば、それがいつか、もう一歩踏み出したいときの支えになるので、思い切りチャレンジしてほしい」と学生にエールを送った。