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希少魚に迫る 21歳の研究
2023年6月18日、高知県の室戸沖でツキヒハナダイという希少な魚が発見された。発見したのは高知県に住む高知大学の学生、饗場空璃(あいばそらり)さん(21)だ。饗場さんは魚類の研究を続け、世界的経済誌の米「Forbes」が毎年発表する「日本発『世界を変える30歳未満』120人」の2023年受賞者に若手研究者として選ばれてもいる。
東日本大震災 県職員、教師が語る記憶
2011年3月11日の東日本大震災は地震だけに収まらず大津波、大規模停電という過去にない経験と不安を、主に東北地方に暮らす人々にもたらした。福島県で当時、避難所で業務に当たり、避難所に駆け込んだ県民の疲労とストレスに満ちた過酷な日々を目の当たりにした県職員は、水が使えなくなったトイレにバケツの水をひたすら運び続けた。教員人生の中で震災とぶつかり、守り切れなかった子どもたちに「ただ、ただ申し訳ない」と声を落として振り返る元教員もいる。
定時退勤 率先する教員たち
学校教員の長時間労働は、教員志望者が年々減少している1つの要因として挙げられる。残業を余儀なくされる要因は単純な仕事量の多さだけではない。その裏には、働かなければと1人で抱え込んでしまう教員たちの意識もあった。そんな中、教員が働きやすくなるようにと、仕事の見直しと意識の改革を同時並行で進める取り組みが行われ、自ら率先して定時退勤に努める学校教員も出ている。
車いす利用者に「それならTVで」
「そこまでして会場に来られるのも大変なので、それならお家でテレビで観戦してください。チケットは払い戻しますので」。2021年のサッカー天皇杯決勝で主催の日本サッカー協会(JFA)が国立競技場地下の車いす駐車場を利用者に提供していなかったため、障害がありバギー型車いすに乗る宮城遼大(りょうた)さんの母・由美子(ゆみこ)さんは、駐車場を利用できるようJFAの窓口に電話で問い合わせたときこう言われたと話す。別の車いす利用者、上野美佐穂(みさお)さん(50)も同様の証言をしている。確認するため、VIRIDISはJFAに計3回問い合わせたものの、これまで回答はない。
車いす観戦「場所選べるように」
「国立競技場は、車椅子席がフィールドを囲んで約500席設置されているスタジアムです。このようなハード面が整っているスタジアムならば本来、希望するエリアの車椅子席を個々に選択できる環境にあるはずです」。サッカーJ1鹿島アントラーズのサポーターで、車いすに乗る宇野奈穗(なほ)さんは、Jリーグの担当者とオンライン画面越しに向き合い、車いす席の運用の改善を求める要望書を提出した。国立競技場(東京都新宿区)で行われたJ1のヴィッセル神戸対鹿島アントラーズ戦で、熱烈サポーターが集まる「ゴール裏」エリアでの観戦を望んでいたが、叶わなかった。国立競技場に設備としてはあるにもかかわらず、主催者の神戸はゴール裏側に車いす席を用意しなかったため、観戦エリアを自由に選べる健常者と「同様の選択肢」(宇野さん)が得られなかったのだ。
海辺の街襲った震度5強
1月1日午後4時10分頃、石川県能登地方を震源とする大きな地震が起こった。この能登半島地震は能登地方で断水、停電、建物倒壊を起こし多数のけが人や犠牲者を出しただけでなく、石川県に隣接する富山県にも甚大な被害をもたらした。中でも能登地方に最も近い氷見市では震度5強を記録し、住民を恐怖に陥れた。その氷見市に1人のVIRIDIS学生記者が帰省中、被災した。折れた鳥居、砕けた食器、そして「大津波警報」の知らせに血の気が引く——。記者が体験した震災の実相を報告する。
運動部キーホルダー、作成まだ3割
専修大学生田キャンパスの総合体育館内に昨年7月、専大体育会各部のユニホーム型キーホルダーが作れる機械「ユニパッチン」が設置された。自分の好きな番号やデザイン、大学ロゴを選び、1個1000円で自分だけの記念品を作れるが、設置から半年が経った今でも、ユニホームデザインの登録を済ませキーホルダーを作れる部は体育会47部中15に留まっている。機械の存在の認知が上がらず、深刻な課題になっている。
次世代の担い手探すボランティア現場
ボランティア活動者は年々減少傾向で、高齢化やメンバー不足が課題となり次世代へのバトンの受け渡しを模索している。古民家の移築・復元調査などを行う川崎市立日本民家園で活動するボランティア団体「炉端の会」もメンバー高齢化が進む。29年前の活動開始以来、囲炉裏の火焚きを中心としながらガイドや掃除、草バッタ作りなどのチーム活動を行っているが、世代交代が課題になっている。
情報提供、安全円滑アクセスに課題
2023年11月のルヴァン杯決勝で、会場には車いす用駐車場の設備があるのに「用意がない」と主催者Jリーグが当初案内していた問題から浮かび上がる課題として、交通バリアフリーを研究する西館有沙・富山大准教授は「会場側の十分な情報発信」「スポーツイベント主催者の、車いす使用者などの安全円滑アクセスの確保」の2つを指摘する。
「障害あっても観戦楽しめる社会に」
「車いす駐車スペースがあるのに、なぜ利用できないのか」。2023年11月のサッカー・ルヴァン杯決勝で車いす用駐車場を「用意がない」と当初案内していた主催者のJリーグは、当事者が声を上げたことで方針を改めた。車いすユーザーの浦和レッズサポーターが投稿したSNS(交流サイト)での訴えは、2000件以上の拡散を呼んだ。「仲間と現地で応援することは、生きがい。障害があってもスポーツを楽しめる社会になってほしい」と願う。