9月23日〜29日、ギリシャのグレタ島で聴覚障害者の国際テニス大会「第3回世界デフテニス選手権」が行われ、日本代表の専修大学文学部3年鈴木梨子さん(20)が団体戦で金メダル、個人戦のダブルスで金メダル、シングルスで銅メダルを獲得した。ダブルスは前回大会でも金メダルを得ており、2連覇を達成した。
鈴木さんは帰国後の10月13日、VIRIDISの取材に応じ、「総じて次に繋がる大会となったと思う。目標としていた全種目でのメダル獲得とはならなかったが、海外の選手にも多種多様なボールを打つ自分のテニスは通用すると感じたのでこれは自信になった」と前向きにコメント。一方で、今大会は自分の強みを出せないコートだったといい、「うまくいかない時に修正する力が足りなかった。1つの武器に頼っていては勝てない」と反省点も述べた。
デフテニスは聴覚障害者が補聴器を外して行う競技。打球音や周囲の声が聞こえず、無音の世界でプレーする。視覚だけで瞬時に判断して動く必要があり、高い技術が求められる。ろう者のアスリートたちの世界大会「デフリンピック」の一種目にも選ばれている。
世界デフテニス選手権は2015年から4年ごとに開催されてきた。日本代表は回を重ねる毎にメダル獲得数を増やしており、今大会は過去最高の8個を獲得した。
鈴木さんが今後の大きな目標とする2025年の東京開催のデフリンピックに向けては、「聴者(聴覚障害がない人)の大会で良い結果を残すことが、デフの大会に繋がる。なので、まずは来年、シングルス、ダブルス共にインカレ(聴者テニスの学生大会である全日本学生テニス選手権大会)に出ることを目標に新たに頑張りたい」と意気込んだ。
鈴木さんが国内にろう者競技の認知度を発信する絶好の機会ととらえるデフリンピック開催まで残り1年半。気持ちを新たに鍛錬を積む意欲を見せている。