昨年7月、専修大学生田キャンパスの総合体育館内に専大体育会各部のユニホーム型キーホルダーが作れる機械「ユニパッチン」の「専修大学Ver.」が設置された。自分の好きな番号やデザイン、大学ロゴを選んで自分だけの記念品を作ることができる。価格は1個1000円で大きさは縦5センチ、横4センチ。大学スポーツ版のユニパッチンが導入されるのは初の試みだが、設置から半年が経った今でも、ユニホームデザインの登録を済ませキーホルダーを作成できる部は体育会47部中15に留まっている。機械の存在の認知が上がらないことでユニホームの種類が揃わないという深刻な課題を抱えている。
導入から半年経過、なお積もる課題
機械の導入を担当したのは株式会社専大センチュリー営業部長の岡嶋紀夫さん(63)。
岡嶋さんは導入時に参加した部活は13種類と少なかったため、その後各部活への働きかけや周知活動を実行。しかし、増えた部活はわずか2つと反応が鈍かった。「こちらとしては色々なクラブを取り込みたいが、部によっては堅苦しい、面倒くさいと思われて敬遠されがち。けど、写真を撮ってデザインだけわかればこちらで作れる。実際に形として作るか作らないかはあとで決めるので良い」と申し込みを待ち望む。
課題を踏まえて学生たちへこう訴えた。「ユニパッチンは学生の記念にも卒業生の記念にもなる。帰属意識や愛校心を醸すために、ぜひ身につけて欲しい」。グッズの売り上げが伸びれば各部活に人気が生まれ、部員たちの頑張る要因にもなるといった相乗効果が期待される。
企画会社は大学スポーツで初反応探る
ユニパッチンを開発管理する株式会社ライジングエンターテインメントAM事業部長の平田肇さん(51)は導入に深く携わった。もともと会社側も「大学にも進出したら面白いのではないか」という話が出ていた中、専大が選ばれた。
会社側としては「『大学』というフィールドでどれくらいの反応が得られるものなのかを知りたい』という探りの気持ちが強いため、機械の導入に際して売り上げのノルマや目標指数は決めていない。だが、現状で出ている値には「ビジネスとして非常に厳しい数値」とコメント。打開策については「大学側でアクションを起こしてもらうのが一番距離も近く、反応があるのではないかと思う。設置場所の変更も一つの手かもしれない」と述べた。そして岡嶋さんと同じくデザイン数の乏しさについては「全種が揃っているほうが製品としては見栄えも良く、お客様からの要望にもお応えできるかもしれない」と理想を語った。
最後に今後に関しては「岡嶋様とも話し合いのうえ、テコ入れなど、しっかりと進めていく予定」と話した。
利用してみた学生「設置場所が全て」
そして、実際にグッズを作った学生からの声もあった。文学部4年の野見山拓樹さん(22)は野球部とバスケットボール部のキーホルダーを作成。きっかけは「専大スポーツ編集部」に所属して取材した選手に思い入れがあるからだった。機械の存在は知人から聞いて知ったといい、「率直に面白い。ファンやオタクの人も喜ぶと思う」と前向きだ。ただ、深刻な認知度不足に対しては、「設置場所が全ての問題だと思う。10号館とか9号館は人通りが多いから、こういう機械があれば『おっ』て気になるはず。仮に訪れたOBもそうなると思う」と学生ならではの視点から指摘した。加えて「神田(キャンパス)にもう1つ置くか、移動させるかした方が良い。神田は対象になる人(購入しそうな人)が多い」という提案もした。そして野見山さんは既にデザイン登録を済ませキーホルダーが作成できる15の部活が、キーホルダーを作れることをSNSで宣伝することを訴えた。「各部活がSNSをやっているので、そこからどんどん情報を発信した方が良い。今はもうSNS社会なので」と積極的に告知をすることを勧めた。各部活のSNSアカウントは選手の保護者や応援しているファンに見られている可能性が高く、購入に至りやすいとの考えで、また今後の機械の理想については「置く場所を変えて爆売れして欲しい」と話した。