生田セブンイレブン閉店

商品売り切り、13年の歴史に幕

「お世話になっていた…」と大学職員

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わずかな食べ物だけが並ぶ棚と木村昌裕店長(2021年7月30日午後2時半、セブンイレブン専修大学生田校舎店内)田中万智撮影

 2021年7月30日午後3時、専修大学生田キャンパス構内の「セブンイレブン専修大学生田校舎店」が閉店、営業を終了した。2008年9月22日にオープンした同店は13年の歴史に幕を下ろした。常連客の大学職員からは「課の誰かしらが毎日お世話になっていた」と閉店を惜しむ声も。11年4か月の間、店長を務めた木村昌裕さん(62)は「あっという間に閉店当日を迎えた。今はお店の片付けに追われてます」とにこやかに話した。約1か月前に網膜剝離を発症し、眼帯をつけながらの勤務。変わらない朗らかな表情で閉店を惜しむ客と話していた。

「閉店知らなかった」試験で登校の学生

 閉店日、店内の商品はわずか。午後2時ごろにはおにぎりやサンドイッチそれぞれ10パック程度が棚の一角を埋め、飲み物は20点ほどが売り場の4分の1に並ぶ程度だった。アイスコーヒーは最後の品を値下げ販売するなか、サンドイッチやおにぎりを手に取っていく人が見られた。テスト期間ということもあり、学生の数は少なかった。

テストを受けるために登校したというネットワーク情報学部3年廣木辰徳さんは、「そもそも閉店することを知らなかった。商品が少なくてびっくり。新しくコンビニが出来たらうれしい」と話した。

棚の商品はほとんどなくなっていた(2021年7月30日午後2時半、セブンイレブン専修大学生田校舎店内)田中万智撮影

この店は大学職員からも愛されていた。昼食や軽食の購入のため利用していたという専修大学国際交流事務課の小山紫野さんは「課の誰かしらが毎日お世話になっていたから、これからお弁当やコーヒーを買う場所が少なくなって本当に困る」と話した。

店員の永田敬子さん(58)は同店オープンの時からパート勤務を続けてきた。「閉店はとても残念。でも新しくお店が出来るのなら、また今のパートのメンバーと一緒に働きたい」と話した。永田さんを含め、オープンから勤務を続けた人は3人いるという。

副店長の藤井裕大さん(30)は閉店間際でも「全く実感がわかない。看板が撤去されたらわかるかも」と話した。

新コンビニ模索、見通し明かされず

 同店はコロナ禍で大学がオンライン授業となり、部活動も停止が続いたことから学生や教員の登校が激減、経営不振となり、オーナーの大津和義さんが閉店を決断した。大津さん自身も昨年11月に69歳で急逝した。

営業最終日にも何人もの客が訪れたセブンイレブン専修大学生田校舎店(2021年7月30日、同店内)田中万智撮影

 丘の上に位置する生田キャンパスの学生や教職員にとって、セブンイレブンは近隣で唯一、日用品や食料を幅広く販売する店舗だった。閉店後は、コンビニに行くためには10分程度歩いていったん丘から降り、買い物をした後、上り坂を登って戻る必要がある。気軽にものを買うことは難しくなる。

 学内厚生施設を運営する「専大センチュリー」は新たなコンビニエンスストアの開店ができないか模索を続けているが、見通しは明らかになっていない。VIRIDISの6月下旬の取材に対し、同社部長代理の岡嶋紀夫さんは、コンビニ側との秘密保持の必要があるため「正直言えることはない」と苦し気に答えつつも、専大センチュリーがオーナーになるなどの方法で新たな店舗運営ができないか検討し、準備を進めていると話した。


セブンイレブン最終日の様子(撮影 田中万智)