専修大学の学生ボランティア団体「ピアサポーター」は障がいのある学生を支えている。四肢に障がいのある学生に代わり授業のノートをとるなど直接支援をはじめ、障がいについての認識を学内に育て、障がいのある学生が過ごしやすい「日本一優しい大学」になるよう取り組む。そのなかで浮かび上がったのが「障がいのある学生がひとりで学食を使うための支援策」だ。
難しい空席の確保
自らも視覚障害があり、ピアサポーターとしても活動する法学部3年の永盛楓人さんは「自分は目が見えないので、まず空いている席を取るということが難しい。人の気配はある程度察知できるが、荷物で席を取っていたり、友達の分も席を取っているというような場合はそれに気づくことが出来ない」と話す。
ピアサポーターの代表で商学部3年の堀井洸希さんは、昨年5月、学食利用の問題点を探すため永盛さんと一緒に学食に行った。「学食は箸やスプーン、お椀などを自分でそれぞれ分けて返却し、返却前にお皿を水で流すといった作業がある。実際にシミュレーションしてみた上で難しいと感じた」と話す。さらに、サポートの在り方にも難しさがあり「利用者が多く混雑しており自分のペースで作業が出来ないため、本来は永盛君自身で作業してもらった方が良いと思うが、そのときは永盛君の分も自分が片付けてしまった」と述べた。
ウェブ予約のアイデアも
学食利用をしやすくする案としてピアサポーター間で出された意見として、「ウェブサイトを作成し、サイト上から席の予約を出来るようにする」などが挙げられたという。ウェブ上であれば読み上げ機能も充実しているため、目が見えなくても空いている席を確保することが可能になる。また、席の間隔をあけて予約をすることによって障がいをもった学生以外でも、コロナウイルス対策として密を避けることができたり、冬のインフルエンザ対策としても有効ではないかという意見もあがった。「どうせなら、障がいをもった学生だけではなく、専修大学に通うすべての人にとって使いやすい制度を考えたい」(永盛さん)という考えのもと、解決方法を模索している。
「専修を日本一優しい大学にしたい」。堀井さんは代表としてピアサポーターの目標をそう述べ、力強く言う。「日本一優しい大学を目指すにあたって、周囲の方々の協力や理解はもちろん必要不可欠だが、実際に声を挙げていくのは自分たちピアサポーターだと思っている」
障がい学生の利用「最大限支援」と学食
こうしたアイデアに対し、専修大学神田校舎10号館7階学生食堂の店長で、同食堂を運営する東京ビジネスサービス株式会社の星野義行さんに、学食運営側からの声を尋ねた。ウェブサイトでの席予約の案に関しては「専修大学から委託され学食を運営しているので、自分たちが何か新しいシステムを勝手に導入することは出来ない。ただ、大学側からそのような声が挙がれば、連携して学食のバリアフリー化を進めることは出来るはず」と実現可能性について言及した。また、現時点でも「サポートが必要な学生が来た場合は、声を掛けて頂ければメニューの読み上げや、席の案内など最大限支援するつもりだ」と述べ、障がいを持つ学生が一人で学食を利用することを支える姿勢を示した。