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教員不足解消に「ペーパーティーチャー」を

学校教員が全国的に不足する中、人材の候補として「ペーパーティーチャー」と呼ばれる人々の存在が注目されている。教員免許を持ちながら学校現場に勤めていない人を指し、年々増加。背景に教員の労働量への不安がある。大学で教職課程を取り、教員免許を取得しても一般企業に就職する学生も少なくない。文科省の調べによると、現在、公立小学校、中学校、高等学校、特別支援学校1897校で2558人の教員が不足している。

日本初条例 効果は1年だけでも影響大

埼玉県がエスカレーターの歩行利用を禁止する条例を施行して2年が過ぎた。エスカレーターの利用者は「立ち止まった状態で利用」、管理者は「エスカレーター利用者に、立ち止まって利用することを周知」を義務づけるが罰則はなく、努力義務だ。専門家の調査では、エスカレーターを歩く人の割合は条例施行時の62%から3か月後に38%へと減少したが、1年後には61%と元通りに。一方、施行前に見られなかった「右側に立って乗る」人は増えたという。条例を知る人の割合は埼玉県調査で2021年38.3%だったのが22年は67.8%上昇した。条例遵守へ、罰則導入や、エスカレーター上に足形を書くなどの意見も出ている。

温かい給食の実現求め

中学校の全員給食制度がなく長らく懸案になっていた横浜市で、2026年度から工場で作られた給食を配達するデリバリー式給食を原則全員に提供することが決まった。民間の給食業者で約5万3千食を確保し、さらに約3万食分の給食センター新設の準備を進める。一方、全生徒ができたてを食べられる給食の実現を目指す「横浜でも全員制の中学校給食が『いいね!』の会」は、全員への給食提供制度は喜ばしいとしながら、学校内での調理でなくデリバリー式給食での提供は残念と打ち明け、横浜市中学校給食の議論は「結論ありき」だったのではという声も上がった。

図書館職員、非正規が76%

練馬区図書館で2018年、 運営の民間委託に反対しストを構える動きが見られた。 今年6月には日本図書館協会 (JLA) が非正規職員の待遇改善を求める要望書を全国の自治体に送った。図書館は増加傾向で職員数も増える一方、正規職員や司書職は大きく減っており、不足分を補うようにして非正規や派遣・委託が爆発的に増加しているのが現状だ。JLAの調査によると図書館で働く人のうち76%が非正規だという。予算を充実させるためにも、図書館は民主主義を支える国民の情報アクセスの場であり、単なる無料貸本屋ではないという価値を私たち自身が知る必要があると訴える声も専門家からは出ている。

未来変える「マイ争点」

選挙に参加しない若者の増加が問題になっている。今年4月投開票の統一地方選挙の年代別投票率をみると、道府県議会議員選挙の投票率が18・19歳は22.7%、20代が25.6%(最高は70歳以上の68.7%)、市区町村議会議員選挙では18・19歳が17.9%、20代が21.7%(最高は70歳以上の62.0%)。そこで神奈川県では学生による選挙啓発活動や出前授業による主権者教育が行われている。取り組みに加わっている専門家は、若者が社会の未来をよりよく変えるため、自分の関心ある争点、いわば「マイ争点」を持つよう提案している。

吃音症 隠さない世の中へ

吃音症は、成人の約100人に1人にある障害だ。どもってしまい、周りの人に笑われたり、馬鹿にされたりした経験のため、正面から吃音であることを打ち明けることができない人が多い。多くの人が吃音について知らないため、周りに助けを呼ぶことや、カミングアウトをすることができない。どもることも当たり前の環境、吃音症であることを隠す必要がない社会を目指すためには、多くの人が吃音を知ることから始まると、当事者たちは訴えている。

LGBTQ留学生「日本の大学 多様性感じない」

2023年現在、日本における性的少数者(LGBTQ)の割合は約3%〜10%と、LGBTQのサイト「tokyorainbowpride」 は紹介する。大学という万単位の人がいる社会では、LGBTQの人たちがかなりの数暮らしていることになる。しかし海外の環境を熟知し、日本の大学に通い、LGBTQ当事者であることを明らかにしている外国人留学生5人をVIRIDISが取材したところ、そのうちの3人が「日本の大学では多様性を感じない」とそれぞれ指摘した。一方、専修大学のキャンパス・ハラスメント対策室はこうした問題に取り組み、大学のハラスメント防止ガイドラインに「SOGI(性的指向・性自認)ハラスメント」の定義・事例を加えている。

子育ての悩み、気軽にSOSを

多忙な生活の中で育児に追われる日々を過ごす親たちのため、短時間の預かりや送迎など一時的な育児を引き受ける「子育てヘルパー」がいる。川崎市ふれあい子育てサポート事業のひとつで、川崎市在住の20歳以上であれば、救命救急などの実技講習を含む研修を受けてヘルパーに応募することができる。既存の制度とは一線を画す地域と繋がる育児が進んでいる。

専大3年鈴木さん 3つのメダルを獲得

9月23日〜29日、ギリシャのグレタ島で聴覚障害者の国際テニス大会「第3回世界デフテニス選手権」が行われ、日本代表の専修大学文学部3年鈴木梨子さん(20)が団体戦で金メダル、個人戦のダブルスで金メダル、シングルスで銅メダルを獲得した。ダブルスは前回大会でも金メダルを得ており、2連覇を達成した。鈴木さんは「総じて次に繋がる大会となったと思う。目標としていた全種目でのメダル獲得とはならなかったが、海外の選手にも多種多様なボールを打つ自分のテニスは通用すると感じたのでこれは自信になった」と述べ、2025年「デフリンピック」東京大会に照準を合わせる。

競技が生きがい 世界一目指す

「デフテニスがなかったらテニスをここまで続けていない」。そう話すのは専修大学文学部3年の鈴木梨子(りこ)さん(20)。「デフテニス」と呼ばれるろう者専用のテニスに取り組むアスリートだ。幼いころに難聴と診断され、補聴器を付けた生活を送っている。補聴器を活用してテニスに取り組んでおり、今年で13年目を迎えた。そして、世間には難聴のアスリートたちだけで開催されるデフリンピックという世界大会が存在し、その1種目にプレーヤーが補聴器を外して試合を行うデフテニスがあるのだ。プレーヤーにとっては無音の世界でテニスをすることになり、打球音が聞こえない。そのため、目だけでボールを追って打球を判断しなければならず、瞬時の判断や反射神経の高さが問われる。鈴木さんは2年後の日本開催の大会で優秀な成績を残し、デフリンピックでも世界一を目指す。競技の発展に尽力するため、奮闘している。